mikazukineko no hitorigoto

2001.7.12. ミカヅキネコの独り言 vol4

私は"運"を信じる方だ。自分で言うのもなんだが、運はいい方だと思っている。特にクジ運が良く、ビンゴで何も当たらなかった経験は数えるほどしかない。家族や友人に言わせると、「嫌なやつ」らしいが、" 運"だから仕方ない。勝負運もしかり。中でも、"じゃんけん"と"競馬"に関して、私と永井はライバルである。

実は、その"じゃんけん"について語らせると、私たちはちょっとうるさい。「じゃんけんは真剣勝負の頭脳プレイである」というのが共通の認識なので、お互い決して手を抜かない。彼女は現在妊婦なので、ここ最近はお休みだが、以前はよく勝負をしたものだ。なぜ妊婦だとお休みなのかというのは、私たちの勝負が" お酒の席での車の運転"をめぐるものだったことを説明しなければなるまい。
自他共に認める酒好きの私と、ワインエキスパートの資格を持ち、無類のワイン好き(実は焼酎もビールも何でも飲む)である永井は、仕事の打上げや会食の際に、帰りの運転をめぐって、飲む前にじゃんけんをする。おいおい、それはマネージャーの仕事じゃないのか?!という声は私たちの間では通用しない。もちろん、基本は私が運転するが、お酒の席で飲まずにいる私を不憫に思った(?)永井が、ある日ノリに任せて「お互いお酒が好きなんだから、片方が飲まないのは不公平だよね。ここは、真剣勝負で平等にいこう!」と提案したことから、この勝負が始まった。
打上げ会場で、あるいは会食の席で、今まさに乾杯をしようという時に、おもむろにじゃんけんが始まる。これからお酒が飲めるか飲めないかの瀬戸際なので、まさしく真剣勝負、お互い力の入ったものになった。基本は三間(先に3勝した方が勝ち)である。
勝率はというと五分五分のいい勝負で、負けた方は潔くウーロン茶を注文し、そこにはスポーツをし終わった時のような清々しい快感があった… しかし、この勝負は実は彼女の妊娠以前に終焉を迎えることになる。もう一人のマネージャーが参戦(無理矢理)するようになって、ほぼ毎回彼が運転することになったからだ。勝負の道は厳しいことを彼は痛感したことだろう。"じゃんけん"を甘く見てはいけない。

そして、"競馬"といえば私。オヤジギャル世代と言われ、現在も自他共に認めるオヤジな私には、赤ペンがよく似合う。なのに先日、永井に打ちのめされる出来事があった。
現在、永井が担当しているラジオ番組で「永井美奈子のサラブレッドヒストリー」(ニッポン放送・毎週日曜17:20〜OA中)という朗読のコーナーがあるのだが、1年以上続けていることもあって、彼女も多少競馬に詳しくなってきてはいる。
しかし、「ねえねえ、競馬新聞ってどうやって見るのー?」と私に聞いてくるレベルの彼女は、これまでGTレースを何度買っても、「こんなことなら美味しいものを食べに行けばよかった…」と落ち込むお粗末な結果であった。
その彼女と、大井競馬場のトゥインクルレースに行った時のことである。
つい最近、大井には食事をしながらレースが見られるという『ダイヤモンドターン』が出来、私たちは取材を兼ねるという名目で、ラジオ番組のスタッフと一緒に遊びに行ったのだった。その想像以上に清潔で楽しい環境に、皆ではしゃぎつつ、最初は優雅に、財布が軽くなり始めた後半は必死になって馬券を買った。
そして迎えた最終レース。このレースはダントツ人気の馬が2頭いて、いわゆるこの本命2頭で間違いないだろうと言われていたが、人気がありすぎてオッズが低く、この2頭で当たっても2倍程度にしかならない。今までの負けを取り戻したい私たちは、それでは面白くないと、目を皿にして競馬新聞を睨み、それぞれの思惑を馬券に託し、最終レースらしくお金を遣った。

そして大半の予想通り、結果は(1)1番人気馬、(2)2番人気馬。もちろん、各自その本命2頭は買っていたのだが、ここに思わぬ落とし穴があり、勝負の明暗を分けたのである。なんと永井が、1番高い配当金を得たのだ。
その理由はつまり、馬券の買い方にある。当たり前だが、ただ金額を多く買えばいいというものではなく、あらゆる可能性を計算する必要がある。
私の計算はこうだ。まず、(1)1番人気の馬→(2)2番人気の馬と予想する、いわゆる堅い本命の馬連単勝式(1着・2着馬及びその着順まで予想。馬連複勝式よりオッズが高い。以後連単)をメインで多く買う。そして、1着・2着の着順を逆にした連単をメインより少なめに、さらに穴狙いで軽く2点ほど。どれが当たっても、これまでの負けを取り戻せる計算だった。そして結果、メインの馬券が当たったので、トータルすると少し利益が出たことになる。
永井はというと、同じくメインの連単と穴をいくつか、そして、人気馬2頭の馬連複勝式(1着・2着馬2頭を予想。着順はどちらでもよい。以後連複)をメインと同額買い、さらに1番人気馬の単勝(1着の馬を予想)を買っていた。これは堅いとはいえ、1着予想の馬が2着になった場合、当たりは連複の馬券しかないので、トータルすると元は取れない買い方である。だが、結果は穴馬券以外当たりという大健闘である。しかし、何よりも「負けた!」と思ったのは、彼女が連複を買っていたことだった。
欲が出ていた私は、メイン以外を何にするか考えた時、どうせ人気馬2頭で間違いないのなら、少しでも高い配当をと思い、わざわざ(1)2番人気→(2)1 番人気という着順を指定した連単を買い、連複で買うことなどハナっから頭になかった。これは、連複はオッズが低いものと決め付けていたせいもあるが、それゆえ皆考えることは同じで、最終的には連複のオッズが連単と同じくらい高くなるという現象がおきてしまった。
つまり、その連複をメインの連単と同額分買っていた永井は、周りの予想以上の配当を得たのである。

一緒に行った競馬好きなスタッフも「うーん…マジックだなぁ。くやしいけど永井さんやるなぁ」と感心しきり。ところが当の本人は「?ああ、そうか!普通は連単の方がオッズが高いんだっけ?あたしよく分からないけど、連単を買ったから連複も買っただけだったんだよね。2着の馬の方が勝ってたら、元は取れなかったのかぁ。気付かなかった!」と笑っている。
何がくやしいって、自覚なしに勝たれてしまうことが1番くやしい。しかし、これはビギナーズラックというような種類のものではなく、実は最近の彼女は運がいい。
先日、出演した『クイズ赤恥青恥』でも大ドンデン返しで優勝したし、ゲーム感覚で登録している競馬予想クラブの成績も、このところ妙に良い。
そんな話をしながらの、大井からの帰り道、スタッフの一人がぽつりと言った。
「妊娠すると運がつくって本当なんですね」

なんだそうか!そうだったのか!これは一過性の運なのだ。少し自信を取り戻した私であったが、実は最近、なぜか自慢の"じゃんけん"が弱くなっている。今どきそんなに"じゃんけん"をする機会があるのかと笑われそうだが、これがけっこうあるものなのだ。こっちは真剣なのに、何も考えていない友人達に負けるくやしさ。
こんな筈ではなかった。どうもおかしいと思っていだが、なるほど永井に運を吸い取られていたと思えばつじつまが合う。さてはお腹の羊水に私の運を溜め込んでいるとみた。"運が良い"私を取り戻すべく、ここはお願いしなくては。
「永井サン、早く子供産んで下さーい…」

永井出産まで約3ヶ月。温かく見守っていただけると幸いです。