profile

  vol.2>>
2001年4月より、慶應義塾大学大学院（SFC：湘南藤沢キャンパス）へ通学中です。そこで感じた“生”のキャンパスライフをお届けします。

■再び本格的な大学院通学を決意！

vol.1 大学院1年目の出産も、休学せずに乗り越えた

　今回は久しぶりに私の大学院リポートです。
さてさて、昨年の10月21日に子供を出産し、子供のおかげで元の体重から３キロもダイエットさせてもらい、育児とはつくづく大変なものだと実感している今日この頃です。
　昨年はそれでも無常に秋学期が始まり、とても10月から大学院に通うのは無理だろうと思い「休学も止む無し」の覚悟をしておりました。ところが、このリポートでも度々ご紹介したインターネットで受けられる村井純教授のsoiの授業の皆さんからも
「頑張れ！！ママさん大学院生！　自宅で受講して乗り切ろう。」
等のメッセージを頂き、自宅受講を決めました。
自分でも子育ての合間に授業を聞き、リポートを書いてゆくなんて出来るのかしらと半信半疑でしたが、ここで辞めてしまったらきっと続けられないだろうと思い挑戦してみることにいたしました。

　生後すぐの赤ちゃんというのは１時間と寝てくれません。30分授乳をして、１時間抱っこして、寝てくれても30分ほどです。これを24時間繰り返します。
　そのため、キッチンや寝室にもパソコンを持ち込み、赤ちゃんが寝てくれたタイミングを見計らって授業を受けます。だから90分授業を５回くらいに分けて見るわけです。リポートはたまにぐっすり寝てくれた時（といっても２時間くらい）に集中して書きます。
　林真理子さんを以前インタビューしたとき、「赤ちゃんを横であやしながら、不倫の原稿を書いていた」という話を聞きました。彼女はそれで直木賞等を受賞しているわけですが、その創作力と集中力には感動いたしました。私はそこまではいきませんが、人間できないことはないのだと自分を励しなんとか乗り切る事ができました。
　この他に、三田で通年で取っていた菅谷実教授の授業はリポートを２つ出すという条件でお目こぼしを頂きました。
　 結果、休学することなく、無事に授業を取る事が出来たのです。

単位を取れたのは、インターネットのおかげ

　今振り返ると、何とかやってこられたのは、やはりインターネットのおかげでしょう。皆さんご存知か分かりませんが、通常産後というのは１ヵ月は母体の安全のために外出を禁じられています。しかも３ヵ月は睡眠時間（私の場合）４時間程度の授乳が続き、とても通学はおろか外出する気にもなれない状況なのです。
　１ヵ月健診で止む無く病院に行ったときなどあまりの緊張に右手と右足が一緒に出たほどです。
（是は冗談ではなく、歩き方さえままならなかったのであります。それくらい社会と断絶されておりました。）
　でもそんななかインターネットだけは唯一外界とつながる貴重なパイプなのです。インターネットでライブで送られてくる授業を受けたり、電話では憚られるけれど、メールでは教授と連絡を取る事も気軽に出来る。
　ただ、日々送られてくるゼミ生の進捗状況を見て焦りを感じることもありましたが、そんな友人にメールを投げると沢山の励ましをもらいました。友人に恵まれ、そして寛大な教授陣に囲まれ、そしてこの環境を提供してくれたSFCに感謝しています。

子供をとるか、それとも仕事を優先させるべきか？

　さてそうして乗り切った秋学期ではありましたが、春を迎えるにあたって、私は選択を迫られたのです。四足の草鞋、などと言ってはみたものの、仕事、母、妻、学生のどれを優先させるべきか。
　どれも完璧にできるほどの器量が備わっているとも思っていませんでしたが、それなりにこなすには相当の努力が必要です。
　 その選択を迷っている時にあるきっかけがありました。
　産後２ヵ月もたたないうちにテレビの仕事をしたのです。愛子様がお生まれになり、その特番の仕事が入ったのです。徳光和夫さんとの司会でしたが、まだまだ社会復帰をしていない私はまるでスタジオにいながらも、自分だけ別世界にいるようでした。久しぶりに浴びるスポットライト、生放送の緊張感、少しほこりっぽいスタジオの空気、慣れきっていたはずなのに、どれもが異空間に感じられました。

　この空間に戻るべきなのか？

　この生き馬の目を抜くがごとき時空を乗り切ってゆけるのか？
　そして、子供を置いて仕事に没頭できるのか？

　仕事をしている間は緊張と集中で一時は子供のことを忘れるのですが、終わったとたん体の一部を家に置いてきたような錯覚を起こすのです。是では仕事も、そして子供にも良くない。そう思った結果出した結果は、

「命よりも重い物はない。」

でした。
　先ずは子育て、そして大学院は再開しよう。仕事はいつでもできる。
もし復帰しようと思った時できなければそれまでの実力だったという事で、今は辞めようと、テレビの仕事はひとまず辞めることにいたしました。
　仕事は、子育てを優先できる、家での執筆活動や、単発のもののみと決めました。そして、妻の役割ですが、これは主人には多めに見てもらっていると思います。

新たな気持ちでキャンパスへ！

　さて、そんなこんなで４月になり春学期を迎えると、本格的に復帰の時がやってまいりました。久しぶりのキャンパス、およそ８ヵ月ぶりの湘南村！！変わらずのどかなキャンパスライフが私を迎えてくれました。
　中庭ではフリスビーをする大学生の姿、懐かしいSFCならではの付近にある畜産農家から香るかぐわしい田舎の香水の匂い！！
　大きなおなかを抱えてのキャパスではなく、私の身も軽く……のはずでありましたが、現実はそう甘くなく、すぐに履修登録の作業が待っていました。

　幸か不幸か２年に進級してしまった私はそろそろ修士論文の作業に入らなければなりません。しかしまともに通ったのが半年程度の私は、確実に同級生から遅れをとっていたのです。ほとんどの同級生は既に卒業単位のほとんどを取っていて後は修論を書くのみという態勢に入っていて、そのテーマも決まっているようでした。私はといえば単位はともかくまだテーマを絞り込めずにいたのです。
　しかしここはあせらずマイペースで行こうと決めました。幸い就職活動も関係ないので、のんびり学びたいものを見極めることにしたのです。
　そう、周りの同級生のほとんどは修論を書きながら就職活動をしているのです。その点私はお気楽です。これが社会人大学院生の利点かもしれません。
　しかも私の場合は社会人大学院生といっても、企業からの派遣ではないので期限もありません。無期限、無制限で学問に取り組めるわけです。
　この好条件を楽しまない手はありません。

というわけで、いろいろな授業を見た結果 、この度は４つの授業を選びました。
詳しくは次号でお話いたしますが、一つは「ネットコム」という大学でいうとゼミのような授業。金子郁容教授のゼミです。基本的にはここに所属して修論を書こうと思っています。
　そしてここに所属することによってなんと大学院棟に机をもらいました。大学院になると、所属するプロジェクトに研究のためのスペースを与えられます。これは大学生と大きく違うところでしょう。今まで大学に行ってもいる場所がなかったのですが、これからは自分の家のように使えるわけです。

　そして、もう一つは三田で「社会心理学」を。それから、もう一つ「インターネットとマスメディア」。そして、妹尾堅一郎教授の「情報教育論」です。
　妹尾教授は社会人教育に関しては第一人者で、慶應丸の内キャンパスの初代校長でもあります。とても魅力的な講義をなさる方で、ゆくゆくはこのページにもご登場いただきたいと思っています。こうご期待！！

　このようなラインナップでスタートした、永井美奈子の2年目のキャンパスライフ。子供を抱えてどこまで出来るか、未知数で、不安と期待を背負ってスタートです。
　途中で挫折しそうになったら、励ましてください。

次回はいよいよ始まった授業の濃いーい！？内容をお伝えしようと思います。

■次回予告：

「大学院２年目の履修カリキュラム公開！」
いよいよ始まった大学院２年目の履修。永井が選んだ４つの授業の中身を、じっくり語ります！

5/24（金）更新予定

“campus　lifeはリクルートISIZE　STUDYでの連載です。”