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| <<vol.1 | vol.3>> |
■大学院2年目の履修カリキュラム公開します
| vol.2 | 大学院2年目の履修カリキュラム公開します 我が家のおちびちゃんは、最近“はいはい”を始めるようになり、一時たりとも目は離せなくなってきた。一方、アナウンサーという生業上、美しい日本語を教えようとする私は、古い童謡を歌って聞かせている。先日も「とおりゃんせ、とおりゃんせ～」と歌っていた。 そこに帰ってきた主人も参加して歌いだした。 私「こ～こはど～この細道じゃ？」 主人「ペンギン様の細道じゃ～」 ……幼少時代をアメリカで過ごした彼には、語学教育には参加しないでもらおう。 まずはネットワークコミュニティ（netcom）の授業から さて、そんな、のどかな毎日をよそに、大学院の授業は本格的に始まった。今期の履修は４科目。まずは去年から所属している「netcom（ネットコム）」。SFCでは学生は必ず１つのプログラムに所属し、それに属するプロジェクトに参加する。プログラムが大きな枠組みで、卒業するときに単位を満たしていればそこのcertificateが貰える。プロジェクトはさらに細分化した領域と言っていいと思う。 私はネットワークガヴァナンスというプログラムに属し、「netcom」と「インターネットとマスメディア」というプロジェクトの２つを取ることにした。 「netcom」はネットワークコミュニティの略で、指導教官は金子郁容教授。 その中で私のテーマは「放送と通信の融合」 ゼミ生の研究テーマはSFC一、多岐に渡っているとも言われていて、ここで、とても一口に「どういうゼミ」とは言えない。指導する先生も大変だろうなあ、と常々思っている。その中でも私のような「放送と通信の融合」などというテーマは特に変わっているらしく、先生に「本当に僕でいいのかなあ」などと言われたくらいだ。 それでも金子ゼミの人気があるのは、たぶん金子先生の指導法だと思う。私一人の意見で恐縮だが、金子先生は学生が持った問題意識の芽を摘むことなく、また、先生が最初から答えを示すのではなく、学生が自分で考えるように導き、それを形にするヒントをくれる、そんな気がする。 大きな研究会や、有名な先生の下につくと、ともすると、その一員として研究を支えるか、大学と変わらぬ 知識伝授方が多い印象があったが、「netcom」は違うようだ。 ここでは、論理的な問題解決の思考法が身につくのでは？と思う。私のように15年もテレビの仕事をしていると、なにかと、“すぐ実践”になってしまう。こんなpracticalな人間に体系づけて物を考える力が必要なのだとつくづく思う。 「SFCに入ったのだから、コンテンツでも作ったら？」 という人もいたが、そもそも大学院に入ろうと思ったのも、今のままのバランス感覚ではいけないと思ったからだ。 生涯一職人で終わりたい、と「アナウンサーを一生続ける」ためにフリーになった。今もその思いは変わりないが、現場にいると見えない世界がある。特にテレビ業界はこれからの10年でドラスティックに変わっていくに違いない。ところが現場に身を置いていると、その動きさえ見えなくなってくる。ここは一度外に出て、メディア全貌を捉えないとだめだなあ、と思って学生になった。そして人間として、職人気質だけのバランスの人間になりたくないという思いがそこにはあった。 ……とここまでの志は良かったのだが、現実はそんなに甘くない。というか、私は甘かった。頭が錆びている。 考えると同時に行動しないと追いついてゆけない世界に長年身を置いたせいか、行動無しにじっくり腰を据えて考える忍耐に欠けている。毎週のこの授業は本当にHeavyである。それでなくとも理論派でない私は余計に“ｔｏｈｏｈｏ”状態で、周りにいるみんなを尊敬してしまう。 そんな私を労わるように周りのみんなは優しい。そういわれてみればきっと私が最年長。お年寄りは労わってくれるらしい。この場を借りてお礼を申し上げたい。 大学院の宿泊設備、そして恐怖の残留！？ さて、そんな「netcom」の部屋をご紹介しよう。大学院棟にある１コーナーに「netcom」の山があり、そこに私の机もあるが、先日あるものを発見した。 「簡易宿泊場所」 である。 誰かの使い古しと思しきソファが３つ川の字を作っている。よく見るとそこには秋学期卒業予定の三輪君と岡田君が寝ていた。 どうやら修論の中間発表の前だったらしく二人とも爆睡していた。 「卒業できますように」と祈りつつもあきれて見ていると、 「ああ、残留ですね」と後ろから声がした。 修士２年で一回り年下の同級生、田中君が教えてくれた。 「残留って？卒業できないの？」 と聞くと、「えっ？知らないの？ SFC生で残留したことないんですか？」ときた。残留とは別 に留年のことではなく、SFC構内に泊まることだった。 SFCは湘南とは名ばかりの藤沢市にある。しかもちょっと外れている。週刊ダイヤモンドで「教育に熱心な大学ナンバー１」の称号を頂いた我が校は、学内に機材が充実している。そこで、大学で研究を進めることが多い。ふと気が付くと外は真っ暗、23時過ぎには最終バスも終わり、 「帰れなくなる」 らしい。 夜更け、守衛さんが回ってきて慣れた調子で 「残留ですか？ この用紙を書いてください」 と“残留届”なる物を提出すると、宿泊、いや続けて研究できるらしい。 構内にはシャワー室もあり、噂によると、SFCに“住んでいる”人もいるらしい。SFC生になったら、一度はこの残留を味わってみたいものである。 学生全員がノートＰＣを開いて授業を受ける さて続いての授業は妹尾堅一郎教授の「情報教育論」。この先生はもっと早く出会っていたかった先生である。テーマを絞りつつある私は教育の分野での授業を取りたかった。そこで出会ったのが妹尾教授だった。内容は情報化社会における教育の変貌だ。 社会人教育、問題学の権威でもあり、守備範囲が非常に広い教授だ。広いだけのようで深いのがこの人の魅力でしょうか？授業は妹尾教授がパワーポイントを元に授業を進め、学生はPCでノートをとる。はじめは「授業中に授業を聞かないでインターネットしている！？」と驚いた私もすっかりPC派になった。 そして、もう一つのプロジェクトが「インターネットとマスメディア」。授業というよりプロジェクト自体に属する事で、他の学生の研究などを見て刺激を受け、また、自分の研究を深めるのを目的としている。 そして、１コマ、三田での授業が「社会心理学特論」。テレビの歴史からテレビが社会に及ぼす影響などを研究している萩原教授の授業。テレビの仕事をしていた時は、テレビの研究をしている人が大嫌いだった。 「現場を知らずに調査だけして、そういう人にとやかく言われたくない」 と頑なに思っていた。 というのも、現場がどんなに頑張って番組を作っても、そういった評論家の一言や学者のたった１つの統計で番組が打ち切りになることもあったからだ。 しかし、宗旨変えをすることにした。評論家は相変わらず嫌いだが、先ほども話したように現場からの１側面だけで物を捉えるのを止めることにした。授業を受けてみると、今までは見えていなかったテレビの一面が見えて面白い。 「そうか、視聴者はこんなふうにテレビを観ていたのか」などが新鮮である。 といった４科目がこの春の私の履修ラインナップなのですが、これに加えて修士論文が控えている。来秋（2003年の秋）を目標にしているが、はてさてどうなりますことやら。 |
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［紹介しよう……netcom プロジェクトの主旨］ このプロジェクト科目の主な関心事は、「社会システムとしてのネットワーク／コミュニティ」と、「技術としてのネットワーク／コミュニティ」の接点と相互作用。理論構築、システムデザイン／ツール開発、社会システムの提案と実践、ネットワークコミュニティ活動の実践・調査・参与観察、政策形成と提言などを行う。「行政にお任せ」、ないし、「企業・市場経済に委ねる」に加えて、第三の問題解決アプローチとしての「コミュニティ・ソリューション」を指向する。キーワード：ソーシャルキャピタル、繰り返しゲーム、相互編集性、相互信用システム、ＮＰＯ／第三者認証、教育、福祉、介護、ケア、コンサルテーション、ヒューマンサービスなど。 ◎netcomミーティングの内容
◎修士学生が取り組む可能性のあるテーマ例
◎過去の修士研究テーマ例（就職業種）
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金子郁容教授 1948年生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授。慶應義塾大学工学部卒業後、スタンフォード大学Ph.D.、ウィスコンシン大学準教授、一橋大学教授などを経て、1994年より現職。情報論、ネットワーク論、非営利組織論などを通してボランタリーな組織原理を探る。著書「ボランタリー経済の誕生」「ネットワーク組織論」など。 |